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★Latchkey Child★

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2004 春のtop

桜の花言葉は【美しい人】
 
桜の樹の下には死体があるって噂もあるよね。
 
桜の美しさに魅了されて・・・死んでいった悲しき死体を見下げている桜
 
それは女性の涙・・・それは女性の神秘
 
全てがつまった・・・桜。
 
彼女は何も言わずに彼らを見つめている・・・。
 
彼女に魅了されて、彼女を愛してしまった男達の死体の上で彼女は
 
また、新しく死んでいった男の死体を悲しげに見つめるのだ。
 
彼らには、彼女の下で永遠に眠ることが許されるのに
 
彼女には、自分のことを愛した人の幸せさえ願うことは許されないのだ・・・・。
 
たった一人で立つ桜の樹もあれば、集団で立っている桜の樹もある。
 
しかし、夜桜が寂しげに見えるのは私だけではないだろう。
 
きっと、誰もが桜の樹に魅了されてそれを楽しむのだが
 
彼女達にとって、それは新たな死体候補が現れることに他ならない。
 
抱きしめることも、愛し合うことも許されずにただ・・・・。
 
ただ・・呆然と彼らの死体を見つめるのだ・・・・・。
 
彼女達の涙は・・・地面へと落ちる花びらとなって死体の上に降り注ぐのだろうか・・・。
 
一人に一つ・・・涙の雫となって・・・そっと振りそそぎ最後の愛を語る
 
その時だけ、彼女達は1人の女性となることが許される・・・・。
 
涙にも似た桜の花びらが不自然に置かれた死体の上に降り注ぐとき。
 
その時が、一番桜が綺麗に見えるのだと誰かが言っていた・・・・。
 
その桜の下にはね、死体が埋まっているんだよとも言っていた・・・。
 
思い出した時には・・・不自然な理由で切られた桜の樹の跡が残っているだけ・・・・。
 
寂しく・・・そして彼らの元へ行くように・・・そっと切られていく彼女達の物憂げな
 
体の一部を見つめながら・・・・・。
 
彼女達は何を願うのだろうか・・・・今度こそは人間にと思うのだろうか・・・。
 
それとも、また桜の樹にと願うのだろうか・・・・。
 
私にはまだわかりえない・・・。
 
いつか分かるときがおとずれるだろう、その時私はそれを誰に伝えるのだろうか・・・。
 
誰かに伝えなければ私は静かに死んでいけないだろう・・・。
 
それは、妹でもあり娘でもある。
 
また、孫でもあり・・・愛しい人でもあるのだろう・・・・。
 
詩の中でしか、女性になれない彼女達に私はなにを伝えればいいのだろうか・・・。
 
大好きだった・・・愛しい人からなにを学んだのだろうか・・・・。
 
今も静かに桜の樹は・・・彼らの微笑みを見つめているのだろうか・・・。
 
いつものように、相手を魅了する物憂げな、しかし美しいあの体で・・・・・。
 
いつも変わらず花びらを落としつづけ、彼女達はまた静かに年老いていく。
 
静かにそして寂しく・・・・彼女達の間で・・・・。
 
ひそひそ話が聞こえてきそうなくらいの美しい夜桜・・・・。
 
今・・・静かに春風が体を通り抜ける・・・・。
 
桜は私を見つめて・・・・おいでと語る・・・。
 
今は行けないどこかへ、私を連れて行ってくれそうな夜空が
 
彼女達を物憂げに見せていると信じて・・・私は桜の樹から離れた・・・。
 
また来年、会いましょうねと語りながら・・・・。


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